薬剤師国家試験を受けるにあたって、切っても切り離せない憂鬱なものはたくさんあります。
その代表として、「模擬試験」があります。
模擬試験は、受けるだけでも2日かかり、大量の体力や精神を使います。
受ける前にも、プレッシャーなどで頭がおかしくなりそうなことがあります。
受けた後も、結果を気にし落ち込むことが多いと思います。
私は、そういったものをとても気にするタイプなので、模擬試験がある1ヵ月前から憂鬱でした。
そこに、定期試験や卒論発表、卒業試験が入ってくるので、6年生は毎日が憂鬱でした。
しかし、合格後、「模擬試験」について俯瞰して考察することで、気にすべきこと、気にしなくても良いことが見えてきました。
私が体験したエピソードとともに、模擬試験のリアルをこの記事で伝え、一人でも憂鬱にならないようになれば幸いだと思います。
薬学部の模擬試験をどう捉えたらいいか
3月 スタートアップ模擬試験
結果は全く気にしなくていい‼︎
そろそろ勉強やるかくらいのテスト
6月 ステップアップ模擬試験
これも結果を気にしなくていい
実際のテスト時間を体感するために行っている‼️
9月 全国統一模擬試験Ⅰ
初めての実戦形式だからといって難易度は全国統一模擬試験Ⅱ、Ⅲとも変わらないよう作られている
最初だから簡単と思い油断するのはNG
難しいから落ち込まないように‼️
11月 全国統一模擬試験Ⅱ
急に伸びる人がいるため、焦りが出始める
この辺りから周りの雰囲気がガラリと変わるが、それに呑み込まれず、自分のペースが大切
1月 全国統一模擬試験Ⅲ
国家試験が近くなり、ピリピリはMAX
直前期でも大教室で受験させられるのが基本のため、風邪をひきたくないのに集めさせられ、咳やくしゃみのなか、2日間受けるため、ストレスがやばい
薬学部は2〜6年生前半向けの参考書が充実していない‼︎
そんな考えから広い範囲の学生が利用できるような要点集を作成しました。
筆者の模試の推移
3月 スタートアップ模擬試験 | 6月 ステップアップ模擬試験 | 9月 全国統一模擬試験Ⅰ | 11月 全国統一模擬試験Ⅱ | 1月 全国統一模擬試験Ⅲ | 2月 第108回薬剤師国家試験(2023年3月22日時点) | |
点数 | 123/215 | 229/345 | 207/345 | 218/345 | 232/345 | 263/345 |
平均点 | 107.4 | 166.6 | 176.7 | 206.1 | 217.6 | 253.7 |
順位 | 1974/8425 | 452/5767 | 2762/12802 | 5095/13199 | 4650/12701 | 5002/12018 |
相対評価 | 上位23.4% (Bブロック) | 上位7.8% (Aブロック) | 上位21.6% (Bブロック) | 上位38.6% (Cブロック) | 上位36.6% (Cブロック) | 上位41.6% (Cブロック) |
Aブロックは上位10%以内のこと
Bブロックは上位30%以内のこと
Cブロックは上位50%以内のこと
Dブロックは下位50%未満のこと
Eブロックは下位20%未満のこと
178円という安さ‼︎1本あると模試でも安心のストレス0のマークシート特化型シャーペン:コクヨ 鉛筆シャープ 芯径1.3mm 黒
模試全体の感想
どんどん順位が下がってる(笑)
108回の合格者が9602人なので5002位だと合格者の中間に位置します。
正直、この順位は私の中では上出来だと思います。
薬剤師国家試験は上位で合格する必要はなく、ギリギリで合格しても満点で合格しても結果は変わりません。
厚労省から送られてくる国家試験成績通知書にも点数は出ますが、順位は記載されていません。
つまり、合格さえしてしまえば何位でもいいと言うことになります。
順位はあくまで「合格までの周囲との比較」に必要なものだと考えています。
スタートアップ試験、ステップアップ試験は私としては、結構良い順位でしたが、これはほとんど意味のないことに気づきました。
この理由については後で記載させていただきます。
統一模試は、受験人数1万3000人前後であり、108回の受験者数1万3915人とほぼ同じで、ほとんどの受験生が受けている事がわかります。
統一模試Ⅰは少し順位が良かったですが、それ以降はほぼ同じくらいの相対評価となっています。
これはまだ統一模試Ⅰ受験日の段階では、他の受験生が力を入れて勉強していないからだと思いました。
9月までは、卒論発表であったり、卒業のために必要な試験など様々なイベントがあります。
実際に、私の学校もそうでしたし、他の学校の人の話などでも、9月までは学校によって様々なイベントがあるため、模試の対策はできていなかったと言っていました。
私は、自分が能力の高くないことをわかっているため、早め早めに勉強していました。
そのため、最初の模試は相対評価が良かったのだと思います。
統一模試Ⅱ、Ⅲ、国家試験は相対評価がほぼ横ばいとなっており、私自身、必死で勉強していましたが、他の受験生も必死に勉強していたことがわかります。
全てに共通して言えますが、点数は気にしなくていいと思います。
統一模試は、難易度がほぼ同じくらいに作られているため、点数が回を追うごとに上昇しそうに感じますが、難しい回や簡単な回などムラがあります。
そのため、統一模試ⅠよりⅡの方が点数が低いからといって悲観しないでいいと思います。
あと、地味に精神的にきついのがブロック分けです。
何がきついかと言うと、上位40%と結構よくできたと思ったのに、Cブロックという真ん中の評価にされることです。
AからEブロックまでの5段階ですが、Aブロックが上位10%と非常に範囲が狭いです。
正直上位20%位までは、常連の人たちですし、確実に受かると思うので上位20% をAブロックにして、Bを上位40%にほしかったです。
ブロックについては細かい事かもしれませんが、模試の結果で1番最初に目にするのがブロックです。
そのため、第一印象で、あまり良くなかったと思ってしまうと、実際はそこそこできていたのにメンタルがやられてしまいます。
ブロックを気にしすぎて、安全圏にいてもメンタルがすり減るなんてことも
そのため、ブロックに惑わされず、きちんと自分で相対評価を計算し、自分の位置を確認することが大切だと思います。
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3月 スタートアップ模擬試験
2022年3月 第108回スタートアップ模擬試験
点数 123/215 平均点 107.4
順位 1974/8425 上位23.4%(Bブロック)
過去問 71/108 (平均57.1)
オリジナル 52/107 (平均49.6)
スタートアップ模試の結果はあまり意味がありません。
その理由は、3つあります。
- 問題数が少ない
- 受験者数が少ない
- 問題中に過去問が入っている
①問題数が少ない
国家試験は345問であるに対し、スタートアップ模試は215問と少ないため、本来国家試験に必要な集中力などが使われません。
②受験者数が少ない
受験者数も8500人と統一模試と比べても少ないです。参加する学校の頭の良さによって相対評価も変わってくるため、国家試験のための比較としては物足りないものとなります。
③問題中に過去問が入っている
これが最大の理由です。結局過去問が入っている場合、過去問をそのまま覚えたもの勝ちとなってしまいます。
私自身、スタートアップ模試で良い点を取るために、直前期は内容の理解などをせず、ただただ過去問をそのまま暗記するという勉強を行ってしまっていました。
自分でもそれでは意味がない事は分かっていても、模試の結果が悪いと言うのはどうしても避けたかったため、意味のない勉強をやってしまっていました。
無駄な時間でした‼︎
私以外にもこういった勉強法をしている人を多く見かけていたため、過去問が出る試験は実力とあまり相関しないと感じました。
名前の通り、スタートとして勉強をやる気にさせるためのテストだと思います。
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6月 ステップアップ模擬試験
2022年6月 2022年全国統一ステップアップ模擬試験
点数 229/345 平均点 166.6
順位 452/5767 上位7.8%(Aブロック)
過去問 77/100(平均61.1)
オリジナル 152/245(平均110.9)
ステップアップ模試もスタートアップ模試同様、結果をあまり気にしなくていいと思います。
理由は先ほどとほぼ同じです。
- 受験者数が少ない
- 問題中に過去問が入っている
①受験者数が少ない
私が受けた時は、参加者約6000人と本来、国家試験を受ける人数のほぼ半分となっていました。そのため、やはり受験者の学力によって順位が左右されてしまうため、あまり参考になりません。
②問題中に過去問が入っている
問題自体は345問となりましたが、まだまだ過去問が100問も出ています。
私は、スタートアップ模試同様、直前に過去問を丸暗記すると言う愚かな勉強法を行い、良い点数を取りました。
また、私はオリジナル問題の点数も高かったのですが、これは過去問を少しいじったものをオリジナル問題としていたため、点が取れたと記憶しています。
過去問と記載されているものは、全く同じ問題が出てきて、オリジナル問題は、過去問を少しいじってある問題も含めるという形だった気がします。
これらの理由から、ステップアップ模試は実際の試験時間を体感すると言う意味で受けるものだと思えばいいと思います。
問題数は345問に増えています
また、私はこの時、典型的な間違いをしていました。
受験者数が少ないのと、過去問によって左右されると言う点を知っていながら、はじめてAブロックに入ったことに安心してしまいました。
結果として、次の模試までの6月から9月と言う期間を気の緩んだ状態で過ごしていました。
そんな状態では、順位が下がるのは当然であったはずなのに、統一模試Ⅰの結果に予想以上に落ち込みました。
浮かれていました(反省)
こういった失敗をしないために、たとえ点数が良かったとしても、結果を気にせず前に進むことが重要だと思います。
勉強のモチベーションアップ間違いなし‼︎チ。―地球の運動について―
9月 全国統一模擬試験Ⅰ
2022年9月 全国統一模擬試験Ⅰ(249回)
点数 207/345 平均点 176.7
順位 2762/12802 上位21.6%(Bブロック)
必須 65/90(平均59.2)
理論 54/105(平均44.7) 物理 1/10(平均2.7)
実践 88/150(平均72.5)
統一模試Ⅰは、はじめての実戦形式です。
難易度は統一模試Ⅰ、Ⅱ、Ⅲともに変わらないように作られているため、ステップアップ模試をイメージすると痛い目を見ます。
めっちゃむず〜
やはり、多くの人が解けません。
この模試で危機感を感じる人もたくさんいると思います。
統一模試Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを通して、「試験の最後まで集中する」という意識を持てれば大成功だと思います。
模擬試験だと途中退出をする人もいるかと思いますが、実際の国家試験では途中退室をしている人はほとんどいませんでした。
集中力と言うのは、直前の1〜2ヶ月でどうなるものでもないと思います。
しかし、日ごろから国家試験のように集中するのも難しいです。そのため、模試を良い機会と捉え、模試の時は、「途中退室しない」、「試験中寝ない」、「本番のように集中する」などができたらいいと思います。
また、特筆したのは物理の理論です。
国家試験でも非常に点数が低いですが、模試でもやはり低いです。
平均点が低いものを勉強するのではなく、得点できる科目を勉強した方が良いと考えます。
国家試験対策のために勉強する科目の順番はこちらでまとめています。
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11月 全国統一模擬試験Ⅱ
2022年11月 全国統一模擬試験Ⅱ(250回)
点数 218/345 平均点 206.1
順位 5095/13199 上位38.6%(Cブロック)
必須 66/90(平均63.1)
理論 53/105(平均49.9) 物理 2/10(平均3.8)
実践 99/150(平均92.8)
統一模試Ⅱでは、急に伸びる人が出てきます。
私の年は特に実践問題の伸び率が高かったです。
統一模試Ⅰでは実践問題の平均点が72点だったのに対し、Ⅱでは平均点が92点と20点も伸びています。
問題が簡単だったのかもしれませんが、実践問題は、勉強すればするほど知識がつながり、点数が取りやすくなる傾向にあります。
つまり、それだけ多くの学生が国家試験に対して勉強しているということだと思いました。
私自身、順位が大きくダウンしました。
しかし、ある程度覚悟していました。
今までテストを直前の勉強だけで乗り切れる能力がある人が本気を出して勉強し始めたら、やはりそれぐらいは順位が下がります。
この辺から大学の雰囲気も変わってきます。
普段勉強をやらない人が、異常に勉強し、1日12時間勉強したとか、分厚い問題集を終わらせたなどの話が出てきます。
めっちゃ焦る〜
そういう話を聞くと、焦りが出てくると思いますが、焦らない事が大切です。
人にはそれぞれのペースがあります。
薬学部の過酷な生活を耐え抜き、6年生になっているため、おそらく自分の勉強法はそれぞれ持っていると思います。
変に周りに合わせて何十時間やっても逆効果です。
焦らず、自分を信じ、自分のペースで勉強することが大切だと思います。
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1月 全国統一模擬試験Ⅲ
2023年1月 全国統一模擬試験Ⅲ(251回)
点数 232/345 平均点 217.6
順位 4650/12701 上位36.6%(Cブロック)
必須 74/90(平均67.0)
理論 57/105(平均54.9) 物理 2/10(平均4.5)
実践 101/150(平均96.9)
国家試験が近くなり、ピリピリも最高潮となってきます。
正直、年明けはほんとに大学に行きたくありませんでした。
直前期でも、受験会場は大教室のため、風邪をうつされるリスクがとても高いです。
なぜ自宅受験できない?
私の時は、咳やくしゃみなど明らかに風邪をひいているのに、それでも模試を受けている人がいました。
そういった人が席の近くにいると1日中嫌な思いをしながら試験を受けることになるので、ストレスもやばいです。
試験難易度は統一Ⅰ、Ⅱと変わらないため、ストレスを受けやすい人や体調が悪くなりそうな人は試験を受けず、統一Ⅲの解説書で勉強すると言う方法をとってもいいくらいストレスが半端ないです。
私自身、受験しに行っただけで、体調が悪くなりました。
直前期は模試の結果よりも、体調、メンタルを壊さないようケアしていくことが大切だと思います。
医薬品の重要性をよく理解できる本:世界史を変えた薬
2月 第108回薬剤師国家試験
第108回薬剤師国家試験については別の記事に載せてありますので、もし良ければご覧下さい。
模擬試験を受ける上での心構え
①点数を比較しない
点数の比較は意味が無いと思います。
難しい回や簡単な回など問題によって差が出てしまうため、点数ではなく、周囲との順位で測っていったほうがいいと思います。
②模試は直前の授業に左右されるため、実力だけじゃない
自分の体験として、模試に出るところを直前の予備校の授業で教わることが多いと感じました。
学校によっては、大学に予備校講師が来て講義をするということがあると思います。
そういった時、模試の直前に受けた授業内容がドンピシャで出るということが多かった気がします。
その授業受けた人がまとめて点数が上がるという事はよくありました。
そのため、模試の結果は、完全な個人の実力によるものだけではないと思っていたほうがいいと思います。
③国家試験より難しめに作られているため、できなくても大丈夫
統一模試は国家試験より難しい問題も多く含まれています。
そのため、できなかったからといってあまり焦ったり、深追いしないほうがいいと思います。
④模試は良質な問題集と考え、初見で解けなくても復習し、わかるようになればOK
統一模試は、国家試験の予想問題として、とても良質なものなので、初見で解けなくても、あまりがっかりせず、問題集として考え、後々わかるようになればいいと思います。
難しい問題も、簡単な問題も同じ1点なので、まず、確実に簡単な問題を解けるように勉強していくことが大切だと思います。
⑤とにかく体調、メンタルを壊さないのが大切
模試を行う上で最も大切なのは、体調、メンタルを壊さないことです。
1年にも続く長い戦いですので、息抜きも必要です。体やメンタルを壊さず、元気に1年を過ごすことが国家試験の合格にもつながると思いました。
模試は1年間を通してメンタルをえぐってきますが、重く捉えないことが大切です。
模試でメンタルやられたら元も子もないから終わったら気分転換しよう‼︎
これまで、模擬試験では順位による周囲との比較が必要ということを伝えました。
しかし、厳密には合格ラインの上位60〜70%前後の順位だけ意味があります。
ここが薬剤師国家試験の難しいところです。
上位40%の人が上位20%の人を羨み落ち込んでも国家試験で合格すれば違いはありません。
上位20%になる努力をするよりも、上位40%を維持しつつ、体調・メンタルも安定するよう心がけるほうが賢明だと感じました。
受かってしまえば順位も大学の偏差値も浪人も関係ない‼︎
まとめ 大切なこと
- 点数を比較しない
- 模試は直前の授業に左右されるため、実力だけじゃない
- 国家試験より難しめに作られているため、できなくても大丈夫
- 模試は良質な問題集と考え、初見で解けなくても復習し、わかるようになればOK
- とにかく体調、メンタルを壊さないのが大切
薬学部のおすすめ参考書、教科書、問題集について記事を書きました。めちゃくちゃ多くなってしまいました。よろしければ是非お読みください。
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