実務実習の現状は計り知れません。
そもそも、医療に関係する時点でホワイトな環境は難しいのかもしれません。
その実習施設自体があまり良くない雰囲気だと実務実習の内容も荒んできます。
現状を知るために、病院・薬局実務実習の調整を行なっている、薬学教育協議会のHPを見てみましょう。
実務実習の良い事例集はあっても実務実習の問題点については、ほぼ触れられていません。
まぁ当たり前ですね。
実習を行う側は、わざわざ悪い例を記載する意味がありません。
近年の議事録についても、特に実務実習の問題点については触れられていません。
しかし、少し過去に遡るときちんと悪い例も紹介しています。
非常勤薬剤師から実習生が「実習費が 275,000 円出ているのに自分は 20,000 円しかもらっていない。やってられない、教える気にならない」と言われ、以降、繰り返し同様の事を言われ続けた。また、本部の人間がそれを口止めしていた。
指導薬剤師が在宅患者に届け物をした際、学生 1 人に薬局を任せ、患者が来局した際、電話で対応を尋ねたところ「できないはずないだろう」と調剤を行わせ、薬剤交付や現金の授受まで行わせた。
衛生管理が非常に悪い薬局がある。軟膏板を用いずに机の上で軟膏を練る、分包機の清掃をしていない、整理整頓がなされていないなど。
セクハラやパワハラにより、施設を変更した事例があった。また、その事が、学生が大げさであるなどと薬剤師の間で噂となったため、今後就職活動等の際に心配される。
薬局実習で調剤の際、明らかに期限切れ医薬品だったので確認したが、そのまま期限切れ医薬品で調剤をするよう指示された。
また、比較的最近だとこういった事例があります。
指導薬剤師に学生がライン交換を求められることがあったとの報告があり、ラインの交換について情報交換が行われた。
正直、近年の報告がないから、こういった事例が全くなくなったとは考えづらいです。
今でも、こういった病院・薬局で実務実習を行い、つらい思いをしている学生がいると考えられます。
なぜ、こういったつらい実習が起こるのか、薬剤師側の立場で考えていきたいと思います。
薬剤師の裏事情①
①人手不足
まず単純に考えられるのは、人手不足です。
薬剤師あまりの時代とは言われていますが、実際の現場では全然そんな事はありません。
薬局病院ともに常に人手不足のところがほとんどです。
人手が不足していると、1人にかかる業務の負担が大きくなり、それに実習生の指導となると手に負えなくなってしまいます。
とは言え、そんな理由は実習を受ける側の薬学生にとっては知ったことではありません。
実習を受け入れられる体制でないのならば、受け入れ不可にすればいいだけの話です。
現実的に放置されたり、きつく当たられたりする原因は人手不足にあると思いますが、根本的な理由は次以降に記載する理由にあると思います。
薬剤師の裏事情②
②お金目当ての本社指示
先ほども少し記載がありましたが、実習生は、実習先に対して、27万5000円を支払っています。
本来このお金は、実習生が実務実習を行うにあたってのその他職員の負担などに与えられるべきだと考えられます。
薬剤師1人がつきっきりで、実習生に当たっていると言う事は、普段の業務で薬剤師が1人いなくなると言うことです。
そのため、他の薬剤師にその人の分の業務の負担がかかります。
そういった不平等を調整するために、手当があって初めて成り立つと思います。
しかし、実際にその金額がその薬局に入っているところはほとんどないと思います。
先程の事例の方も指導薬剤師だが2万しかもらえていないという不満を漏らしていました。
それを実習生に言うのはどうかと思いますが、実習費の費用を中抜きして、実際に負担がかかる人たちには、ほとんどお金がかからないとなると、実習生への当たりが強くなる気持ちも正直わからなくもありません。
この中抜きされたお金が、誰のもとに行ってるかは不明確ですが、大手だとおそらく本社のほうに利益が行っていると思います。
つまり、本社は、自分たちの労力的負担なしにお金がもらえる実務実習は推進していきたいものです。
そのため、実務実習を行えるような人員配置ではない薬局に対しても、実務実習生を受け入れるよう指示がなされていると考えられます。
私としては、質の悪い実務実習が行われる原因は、これが大きいと思います。
これも学生側ができる根本的な対策は無いため、実務実習に行きたい薬局の普段の業務をあらかじめ見ておき、余裕を持って業務を行なっている薬局を選ぶしかないと思います。
薬剤師の裏事情③
③薬剤師には変な人も多い
実務実習は、認定実務実習指導薬剤師がいないと薬局・病院実習は行えません。
しかし、正直なところ、認定実務実習指導薬剤師資格を持ってるひとは変わり者です。
そもそも、通常の薬剤師業務だけでも忙しく、金銭的にも問題なく生きていけるのに、わざわざ時間とお金を使って認定実務実習指導薬剤師の資格を取る時点で裏があります。
パターンとしては大まかに3種類だと考えます。
1教育熱心な薬剤師
2手当など給料アップ目当ての薬剤師
3通常の薬剤師業務をしたくない薬剤師
1教育熱心な薬剤師
一見すると、一番まともに見えますが、厄介な人も多いです。
そもそも普通の人とは価値観が違っており、勉強のためならプライベートを潰すのは当然という姿勢が多いです。
そういった姿勢に共感できる人は合うかもしれませんが、仕事とプライベートを分けて考える人にとっては地獄です。
業務に対してすぐに怒ったり、土日に出勤させるタイプはこういった薬剤師に多い傾向にあると思います。
2手当など給料アップ目当ての薬剤師
先ほども述べましたが、指導薬剤師になると、手当がつくことがあります。
それ目当てで、実習生を受け入れるような薬剤師もいます。
こういった薬剤師は、お金にシビアな反面、業務以上のことは行わない傾向にあります。
他の問題薬剤師よりはおとなしいイメージですが、実習生を放置したり、雑用のように扱うのは、こういったタイプの薬剤師に多い傾向にあると思います。
3通常の薬剤師業務をしたくない薬剤師
実習生としては、これが一番楽かもしれません。
しかし、そういった薬剤師と一緒の職場になったら最悪です。
社内ニートのようなもので、通常の業務に支障をきたし、ほぼ戦力としてカウントされません。
指導薬剤師は優しいが、一緒に働く薬剤師からの当たりが強いのはこういったタイプの薬剤師に多い傾向があると思います。
まだまだ変わっている薬剤師はたくさんいるので、自分に合わない薬剤師がいた場合は、もうしょうがないと思うしかありません。
長くても11週間でその関係は終わるので、なるべく関わり合いにならないように立ち振る舞いましょう。
しんどい・ツラい実習の対策①
①実習先の変更
本当につらい場合は、実習先を変えてもらうべきです。
私の世代でも1人、期間中に実習先が変わった人がいました。
とにかくすぐに、指導教員や学校側に現状を報告し、これ以上実習を続けられないという意思を示しましょう。
証拠があるとより確実になります。
実務実習は、学生側がお金を払っているため、そのまま問題のある実習先を続けさせられるということはまずありえません。
異常を感じたら、すぐに学校側に相談しましょう。
ちなみに、私の世代で実習先が変わった人は、すぐに次の実習先が見つかり、遅滞なく実務実習を終えていました。
しんどい・ツラい実習の対策②
②反面教師と思う
つらいとは思うが、実習先を変えるほど大事にはしたくないという方は、逆にこれを人生の反面教師として活かしていくと良いと思います。
利益率を上げるために薬局・ドラッグストアはどんどんできています。
そのため、人手不足はどこにでも起こります。
自分が配属される店舗が人手不足の場合は十分考えられます。
もし、自分の勤務している薬局に実習生が来た場合は、なるべく気にかけて、実習生が嫌な気持ちにならないよう心がけると救われる実習生が居るかも知れません。
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